文化表現学科基礎演習III 2009年7月2日
当日配布したレジュメはこちら。
ポピュラー音楽研究の方法(第一回)
今週と来週の予定
今週:これまでしてきたこと
来週:ポピュラー音楽を研究する方法
ぼくがこれまでしてきたこと
- 研究活動
- 翻訳・通訳
- ライター・エディター
研究活動の内容について
- 卒論:「欲望という名の電車」とテネシー・ウィリアムズの時代
- 修論:ニュース報道とナショナルイメージ〜日本と西洋の相互理解のかたち
- 博論:パリと東京のヒップホップ文化の比較研究〜近代、都市空間、そして音楽産業群
卒論(人文学部英米文専攻)
テネシー・ウィリアムス(アメリカの劇作家)
- 『欲望という名の電車』(1947年)
- 『ガラスの動物園』(1945年)
- 『熱いトタン屋根の猫』(1955年)
- 『去年の夏突然に』(1959年)
『欲望という名の電車』(映画版1951年)
- 監督:エリア・カザン
- ブランチ:ヴィヴィアン・リー
- スタンリー:マーロン・ブランド
- ステラ:キム・ハンター
ピューリタン的(清教徒的)なアメリカ社会のなかで、ゲイとしてものを書くということ
- ピューリタン(清教徒):イギリス国教会の改革を唱えた、プロテスタントの一流派。一部は祖国での弾圧を逃れ、アメリカに移住した(WASP)
精神病で、ロボトミー(前頭葉切裁)手術を受けた姉への思慕と創作への影響
50年代のアメリカで生まれた新しい英雄像
- ビート・ジェネレーション
- ジャック・ケルアック
- ウィリアム・バロウズ
粗野で下品でありながら、セクシーな登場人物
- マーロン・ブランド
- ジェームス・ディーン
- エルヴィス・プレスリー
*参考:『乱暴者』(1953年)マーロン・ブランド
作品の内的読解と外的読解
- 内的読解:書かれたテクストそのものに価値を見いだす読み方
- 作品そのものが持つ、なにか時代を超えた普遍的な意味や価値を析出する
- 外的読解:作品は、それが書かれた社会状況を「反映」している
- 作品の意味や価値は、それが書かれた/読まれた文脈に依存する
実際には、内的読解と外的読解は不可分なもの(これについては、来週話します)
学部時代に読んだ本
ノーム・チョムスキー
ロラン・バルト
ミッシェル・フーコー
*参考:『チョムスキーとメディア』DVD
修論(新聞分析)
ダイアナ妃別居報道と皇太子婚約報道を、日英の全国紙(朝日新聞とガーディアン紙)に注目して分析
ダイアナ妃別居(1992年12月)について、日本とイギリスのマスメディアがどう報じたか?
皇太子婚約(1993年1月)について、日本とイギリスのマスメディアがどう報じたか?
- 文化間交流・文化間理解
- 文化的ステレオタイピング
- 自分自身のナショナリズム
文化的ステレオタイピングの例(欧米のマスメディアのなかの日本)
フジヤマ、スシ、ゲイシャ、ニンジャ……
- 誤解されているのは確か。
- でも、自分たちも外国の文化を誤解していないだろうか?
差別
- 人種や国籍など、自分の国にいるときにはほとんど意識しなかった「違い」にネガティブなイメージ
- でも、それは自分が日本で主流的な価値観を信じ込んでいただけではないのか?
文化的ステレオタイピング(日本のマスメディアのなかの英国)
メディアの内容分析
- メディアがどの話題をどれだけ取り上げたか→量的調査
- ガーディアンが、ダイアナ妃別居についてどれだけのスペースを割いたか
- 朝日新聞が、ダイアナ妃別居についてどれだけのスペースを割いたか
- 朝日新聞が、皇太子婚約についてどれだけのスペースを割いたか
- ガーディアンが、皇太子婚約についてどれだけのスペースを割いたか
- メディアがどの話題をどう取り上げたか→質的調査
- ガーディアンが、ダイアナ妃別居についてどう書いたか
- 朝日新聞が、ダイアナ妃別居についてどう書いたか
- 朝日新聞が、皇太子婚約についてどう書いたか
- ガーディアンが、皇太子婚約についてどう書いたか
- 各記事の見出しの修飾語句(形容詞や副詞)を分析する
- 各記事の本文の修飾語句(形容詞や副詞)を分析する
- 各記事の写真の構図を分析する
修士論文のための調査からわかったこと
人は、ステレオタイプを通してしか、異文化を理解出来ない
異文化と接触し、自分のステレオタイプの間違いに気づくことで、異文化の理解や交流は成り立っている。
自分から歩み寄ろうとしない限り、そうした理解は獲得出来ない。
それをしようとせず、ステレオタイプを批判するだけでは片手落ち。
修士時代に読んだ本
価値・意味の社会学・政治学
世界システム論
- イマニュエル・ウォーラステイン
- 国ごとの独立したシステムを通してではなく、交易・分業など国を超えた動きを通して世界史を考える
- 世界システム:ある分業体制に組み込まれた地域
- ヘゲモニー(覇権):生産・流通・金融の全てを牛耳っている国
- ジョン・アーリ
- 場所と人の移動に関する研究
- 観光産業に注目した社会学
オリエンタリズム・ジャパニズム
- エドワード・サイード
- 西洋がこれまで蓄積してきた東洋に関する研究が、じつは西洋にとって都合の良い理想郷あるいは未開地として「東洋」をでっち上げてきたことを暴いた。
(西洋⇔東洋)
理性⇔感情
精神⇔肉体
男性⇔女性
洗練⇔野蛮
進歩⇔未開
- 杉本良夫とロス・マオア
- 日本人論(日本人は特殊であるという考え方)を成立させているナショナリズムを暴露した
- 日本人は自我の形成が弱い
- 日本人は集団指向的
- 日本人は調和を好む
- 日本人論を扱った書籍は、日本経済が世界進出を果たした70年代から80年代に集中→日本製品の優秀さ・特長を裏付けるための方便
グローバリゼーションと文化
- 近代という制度
- アンソニー・ギデンズ
- 近代とは、分類する時代である
- 科学の名の下、あらゆるものが解明され、合理化され、文脈から切り離される
- 文脈から切り離されたものは、時間・空間的に移動可能となり、他の文脈にすげ替えることが出来るようになる。
- ジグムント・バウマン
- 近代とは敵と味方を分類するものであり、近代が最も恐れるのは「曖昧さ」である。
- 近代は「個人」を最小単位とした社会を理想化する
- 結果、「個人」は文脈から切り離され、孤立化し、社会的なしがらみを失って「漂流」する
グローバリゼーションの社会学
- アルジュン・アパデュライ
- グローバリゼーション=国家の弱体化と企業活動の多国籍化
- これまで:企業活動は国の利益を代表していた
- これから:企業の利益にあわせて国家が制度を改革する
- ヒト・モノ・情報の動きは、もはや国家による統制を受けず、乖離した別々の軌跡を描くようになっている
近代装置としての蓄音機
「音」を、それが生まれた文脈から切り離し、他の文脈に移し替える近代的な技術となったのが、「蓄音機」である。
ただし、エジソンが最初に発明した蓄音機は円盤ではなく、円筒に音を刻むものであり、音源の大量生産には不向きであった。これを克服したのが、ベルリナーの発明した円盤式蓄音機(グラモフォン)である。
ちょうど時間となりましたぁ
つうわけでちょうど時間となりました。
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