9月
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文化とは如何に動くのだろうか
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今年もこの季節がやって参りました。2007年版からやっておりますアムネスティー・インターナショナルの年次報告書が、8月末に出版されてました。例年通り、私の担当箇所はヨーロッパ地域各国。これは当然EU27だけでなく、その周辺国(トルコとか、ウズベキスタンとか、キルギスタンとか)を含む合計ほぼ50ヶ国について、2008年中に報告された(報告されてないのも一杯ある)人権違反について、だだだーと書き連ねているのを翻訳するという作業です。いやあ、各地で横行してますよ、人権無視。EU加盟国みたいな一見文明国ぶっているようなところでもですね、びっくりするような事例があります。
だから訳していて気が滅入る。いや、ほんとに。
「基本的人権」っていうのはさ、こういうの訳していてほんとに思うんだけど、本当に最低限な権利のことなのよ。本当はさ、みんな良い家に住んで、良い服来て、良いもの食べるのが「基本的」な権利だと思うでしょう。そんなんじゃないんですよ。あるいは机上ではそういう風にして構想された権利なのかもしれないけれども、そのあとものすごく適用範囲が縮小されてきていて、多分今も縮小されていて、今では本当に、精神疾患ぎりぎりのところで正気を保てる、くらいの生活条件を保証するだけのものになってるんですが。人間が自分に尊厳を持てるぎりぎりのところで最低限必要な権利。
ですがそれでも、そんなちっぽけな生存条件の保証ですら、強者は蹂躙するんです。移民の問題、民族の問題。なんでも異端をキチガイ扱いするような風潮は、なくなりません。ナチスなんて昔の話だと思っているかもしれないけれど、ホンの数年前にはほとんど同じ理由で、ヨーロッパで大量殺戮が起こってます。
そんなんで、重たい仕事なんですが、それでも毎年やらせていただいているのは、このアムネスティ・インターナショナル日本の藤田真利子さんの人柄ゆえですね。他のところでも書いたけれど、藤田さんは僕が一番尊敬する翻訳家の一人です。アムネスティ・インターナショナル日本の理事長であり、死刑廃止運動家であると同時に、一流のミステリー翻訳家。ミステリーだけではなく、チョムスキーの本とか、ちょっと前に話題になった『プリンセス雅子』とか、『強姦の歴史』とか、『男たらし術』とか、いろんな本を手がけています。どうやったらこんなペースで仕事できるのか、全く頭が下がります。おまけに英語も,フランス語もいける。更に、少なくとも一日一冊は本を読んでいて、しかも本は図書館で借りるので、自分ではほとんど買わないんだそうです。こういう姿勢は良いよね。すごく良いですよね。
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