當ウエブサイトが存在するいくつかの理由
職業上の理由
一、當ウエブサイトは、わたくし個人のものだが、一部わたくしが勤務校(京都精華大學人文學部及同大學院人文硏究科)などで敎へてゐる講義やゼミナールの受講生に向けたものも含まれてゐる。ポピユラー音樂といふのは複雜な現象であり、同時に樣々なことが相關した歸結として、我々は我々の聽いてゐる音樂を聽いてゐるのである。これを講義やゼミナールの限られた時間で說明するのはわたくしにとつても學生諸君にとつても苦痛を伴ふ。當ウエブサイトではそのフオローアツプの機會を提供する。
一、至極殘念なことに、このポピユラー音樂といふ硏究領域では敎科書の類ゐがほとんど出版されてゐない。然るに授業のための敎材も下手をすると全て自分で作成し、レジメを每週何百枚も複寫しなければならない。これは蓋し煩雜な作業であり、更には蹶席した學生諸君のために每囘これまでのレジメを持つて步かねばならない(なかにはスーパーのやうな買ひ物かごを持つて學內をうろふろするのが常態となつてゐる同僚諸兄もをり、なんとも痛々しい)。かうした不條理を避けるため、レジメの文面と授業で使用したスライドを揭載してゐる。
一、わたくしは面倒くさがり屋で、諦めやすく、打たれ弱い性格なため、執筆したのに拘らず學術誌に發表しなかつた論文の類ゐがいろいろある。そのくせ好奇心も强く、いろんな出版企劃に首を突つ込んで、書いたにも拘らず、企劃自體がポシヤつたものもいくつかたまつてゐる。それでも、時々、讀ませて欲しいといふやうなメールが屆くので、こゝに公開する。
一、押し竝べてわたくしは、職業的生活と個人的生活の間に壁はないといふやうなけぢめのない人間を輕べつしてゐる。然れば個人的意見の表明と敎育敎材の提示は、本來であれば分けておこなふべきなのであるが、困つたことにわたくしの勤務校では今のところ、ダイナミツクなウエブサイトの構築環境が整つてゐない。それゆゑ民間のレンタルサーバーを利用してゐる。然るに時に大人にとつてはいかにも幼穉な話題や、學生諸君にとつてはいかにも生々しい大人の話題が混じることもあらうが、そこには諸君の寬容を期待する。
個人的理由
一、我々は、現代社會に於いて、支配的メディアを通じた大量のプロパガンダや情報操作に晒されてゐる。支配的なメディアの裡には、國內外の大企業や政府のイデオロギーが存在することはいふまでもない。當ウエブサイトが提供するのは、我々の生きるこの世界についてのアルタナチブな見方や考へ方である。もちろん、わたくしの文章がイデオロギーによる汚染を受けぬ、なにか純粹な精神の表出であるなどといふつもりは毛頭ない。繰り返しになるが、當ウエブサイトはわたくしのものであり、わたくしのものでしかない。
倫理的理由
一、我々は二一世紀に生きてをり、二一世紀は森林破壞に價値を見出さない。おまけに複寫機の前に何時間も立つてゐるのは時間と資源の徒であり、複寫機の電磁波は健康にもよくない。當ウエブサイトがあることで、わたくしは學生諸君の學術的好奇心にいち早く對應出來るほか、學資支辯者や納税者(周知のこととは思ふが、私立大學の經營は學生諸君の學費だけで成り立つ程甘くはない)の負擔輕減にも貢獻してゐるのである。
一、わたくしは、「知る權利」といふのを文字通り理解してゐる。情報や意見、智識は、經濟力の有無、權力の有無、また居住地や生活情況の如何に拘らず、全ての人間に平等に提供されるべきだと考へてゐる。故に、當ウエブサイトの情報は全て無料で閱覽出來る。
一、わたくしが、當ウエブサイトを通じて提供する情報は、非營利的な目的に基づくものであり、現代社會において、非營利的な情報源を確保することはとても重要だと考へる。このため、當ウエブサイトはアフイリエーションやらダイナミック廣告のやうなものを排除し、單純にわたくしのポケツトマネーから捻出した財源により運營してゐる。まあ、今度お會ひしたときにコーヒーを一杯御馳走してくれれば元が取れるやうな金額であるが。
著作權についての覺え書き
一、 當ウエブサイトに揭載されてゐるほとんどの要素・素材は著作權法により保護されてゐる。
一、 當ウエブサイトに揭載された文章の著作權は全て、その著者か、あるいはその著者とその出版社に歸屬する。
一、 そのやうな文章に關連付けられ、あるいはその中で引用される映像や音樂、樂譜の拔萃には、第三者が著作權を保有してゐる場合がある。これらは純粹に敎育および硏究を目的とした引用であつて、わたくしもわたくしの勤務校も、それによつていかなる利益も得てはゐない。また、わたくしの勤務校に學生として登錄してゐない人は、これらの更なる使用を控へられたい。
一、 當ウエブサイトでは、ポピユラー音樂硏究の發展にとつてわたくしが個人的に重要だと考へる外國語論文について、WWW上で原文を無料で自由に閱覽出來るものに限り、私家版の翻譯を揭載してゐる。これについては、出來るかぎり原著者の合意を得るやう努めてゐるが、疑問のある場合はわたくしに連絡されたい。もちろん、わたくしはいかなる利益も得てはゐない。
一、 此の國の現行著作權法では、非營利敎育機關における著作物の敎材利用について、條件付きで「權利制限」が適用されてをり、授業中の著作物(CD、DVDなど)の拔萃・再生については著作者の許可を必要としない。當ウエブサイトに揭載されてゐる敎材や硏究素材は、基本的にわたくしの勤務校に登錄してゐる學生諸君に向けたものであるが、インターネットの性質上、それ以外の人々にも閱覽可能なものであり(もちろん、さうした方々からのコメントやフイドバツクは大歡迎である)、其れ故、敎室で使つた敎材を全てそのまゝ當ウエブサイトに揭載することは現狀では出來ない。
クラシック音樂の硏究と違ひ、ポピユラー音樂の硏究とは、今まさに作られてゐる音樂を硏究することであり、パブリックドメインにある樂曲ではなく、著作權によつてガチガチに保護された現在進行形の樂曲を分析することである。これをしないとポピユラー音樂についての人類の智識は進みやうがない。これは鬪ひである。
使用上の注意
特に注意書きのない限り、當ウエブサイトに揭載されたわたくしの著作物は、創造的共有権許諾により提供する。敎育や硏究に擕はる出來るだけ多くの方々に、出來るだけ多くの情報と出來るだけ多元的な意見を無料で提供することが目的である。分かりやすく言ふなら、當ウエブサイトに揭載された素材(アイディア、情報、畫像、音樂、その他)は、無料で引用し、借用し、使用してくださつて結構である。たゞし、以下の條件を嚴守されたい。
一、創造的共有権許諾により提供される素材は、わたくしの著作物に限る。
一、引用する場合は、著作權者がわたくしであることを明記し、引用元として當ウエブサイトの適切なURLを添へること。
一、引用するアイディアや情報を故意に歪めたり、間違つたり僞つて傳へぬこと。
一、當ウエブサイトから引用する素材を、金錢的な利益や營利目的に使用せぬこと。どうしてもさうしたいといふ場合は、事前にわたくしに連絡されたい。
一、當ウエブサイトに揭載されたわたくしの著作物の全體、あるいは大部分をWWW上の別の場所にペイストするやうな場合は、事前にわたくしに連絡されたい。
一、わたくし以外の著者による著作物について、それが當ウエブサイトに揭載されてゐる場合、その使用についてはわたくしではなく、その著者に直接連絡されたい。わたくしの方でも全ての連絡先を把握してゐるとは限らない。
一、敎育あるいは硏究目的でわたくしの著作物を利用する場合、特にわたくしに連絡する義務はないのであるが、連絡していたゞけると民度が高いと看做される傾向がある。
こゝに記した全ては、フイリツプ・タグ博士のウエブサイトに强いインスピレエシヨンを受けたものであるが、彼の物腰同樣、この文章も一種の佛蘭西風諧謔として讀んでいたゞければさいはひである。なほ、校正にあたつてはmisimaの多大な支援を受けた。

Les Derniers Commentaires